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白磁との出会い

〜十二童神の誕生〜
〜十二童神の誕生〜
十二童神〜ハヌル〜 十二童神〜ピョル〜

2012年春のある日、私は「十二童神」という世界を生み出すことを与えらえました。それは、私が暮らす甲斐の国(山梨県)の甲斐奈神社で宮司高原玄承先生が私の作品を見た折、当時、未完成だった「わらべ」の姿の中に、不思議な魂の力を見つけて下さったことが始まりでした。

「十二童神」とは、簡単に言えば子供の姿をしている十二の神様です。性別も国籍もありません。
ある役目を持って、この世とあの世の境目を行ったり来たりしていて、人間に勇気や力をくれています。
時に優しく穏やかであったり、時に力強く、勢いや闘志を現すこともあるでしょう。また、ふと奇妙だなと感じたり、心に幸せ感をもたらす働きもしてくれたりします。
なにか理由のない力が湧いたとき、私は彼らに背中を押されて、力を借りた時だと実感します。

私達はずっと昔に、どこかで会った気がするかもしれません。
彼らはいつも近くにいますが、心で気付いた人にしか、その存在を感じることはできません。
彼らはずっと前からそこにいたような自然さで、私の前に現れてきます。
神様は姿を持たない存在だから、人はあえて神とは呼ばず、「自然」の中で「美」を見ていたこともあったでしょう。

朝日のように、月夜のように、春風のように、雨の後の匂いのように・・、
彼らは目には見えないけれど、いつでも心に寄り添ってくれていました。
彼らは姿なき世界からやってきました。きっと人によって見え方も、感じ方も実にさまざまな姿であろうと思います。
今回、十二童神の誕生は、現在の私が心で感じたそのままの姿です。今の心に作った姿での、初お披露目です。これからも彼らの、十二の完成を探して、私の十二童神への旅は続くことでしょう。

私達日本人の祖先は古来、自然を怖れ敬って生きてきました。目には見えない力を信じ、尊み、寄り添い、人の営みを繰り返してきたはずです。本来、人の暮らしの営みや、人間の心は、古代人も現代人も、そう変わらないだろうし、どんなに時代が移り変わっても、文明が進化を遂げても・・人間にとって、大事なものは、そんなに変化するはずはないと・・私は信じます。
素朴に、純粋に、きっと愛する誰かのために、私たちの祖先たちは物をつくり、そして物が語る魂と、共存してきたと私は信じたいと思います。

私が創作するにあたり、私が暮らす甲斐の国の山や川、水や土、木や風に宿っているであろう天地八百万(あめつち やおよろず)の神様たちに感謝します。
大嶽山の大自然にいざなわれ、詣る私達にいつも力を下さる「山の神様」。山の懐に抱かれるような安堵と、力強さを教えられましたこと、大嶽山 那賀都神社の日原盛幸 宮司先生に感謝します。
そして、常に日々の暮らしのなかで、真の祈りこそ創作の原点であることをお導き下さる「里の神様」。
私の陶芸の道の初めから真理を教え悟し、私の魂の旅の果てにいた「十二童神」を見つけてくださった甲斐奈神社の高原玄承 宮司先生に、感謝します。
気が付けば・・私の住む国には、たくさんの祈りと、智慧が溢れていました。
これからも、心の目で見た世界を、私の世界を、丹精をこめて作っていこうと思います。

2013年4月 中山 泉
〜十二童神の誕生〜